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2011年2月

学芸員というお仕事

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静岡のIZU PHOTO MUSEUMで比嘉康雄さんの写真展
「母たちの神」を見た。
沖縄から奄美に至る、琉球弧一帯に伝わる伝統的祭祀の作品群。
昨年末に沖縄で行われた展示ラインナップそのものだ。

運よくギャラリートークが始まるタイミングだったので
話を聞きながら作品を見ていく。

学芸員さんの説明はけっこう深い部分にも入っていき
祭祀の名前はもちろん、「ソールイガナシー」とか「西銘シズさん」など
地元の方以外はよほどマニアックな人しか知らない言葉や名前も
交えての30分となった。

沖縄の信仰について初めて聞く人にはちょっとレベルが高いかも。
でもこの展示だとそのくらい突っ込んだ説明が必要になるだろう……。
僕にとっては充実した時間だった。

トークの後に話をうかがうと、毎回展示の内容に合わせて
作品やテーマをかなり深く研究されるようで(そりゃそうか)、
結構大変なお仕事だ。比嘉作品の中心ともなる撮影地の
久高島へも行かれたとのこと。
学芸員というより「研究員」である。
(実はこの方、重森弘淹写真評論賞の受賞者でもあった)

そういう職業なのだから当たり前のことなのかもしれないが、
素人の想像を越えるご苦労があるにちがいない。

ある時はディープな沖縄の信仰世界、
ある時はニューヨークのアート写真、
ある時は日本の山岳写真について……。

幅広く奥深く消化して、人々に魅力を伝えていく。
こういう人達も写真の世界を支えているのだなぁ。
 

EOS 5DMarkⅡ+ EF70〜200mm f4L IS USM  f8 1/1600sec ISO200

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「なにもない」がすべてを語る?

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現代美術家の李禹煥(リ・ウーファン)の展示を見に谷中へ。

絵画のことはよくわからないが、なぜかこの人の作品は結構好きだ。

言葉にすると乱暴なことになってしまうけど、
白いカンバスに線だけ、とか、ぺたっと筆でつけた点のようなものだけ、
みたいな作品が多い。

でもいざそれを前にすると、シンプルな「白地と線」に、
おそろしく重大な問いかけをされている気持ちになったり、
何もない余白が、「何もない」ということで
すべてを語っているように感じてしまう。

もう、説明できないないエネルギーがずん、と凝縮されている。

こういうものが感じられる写真があるとしたら
どんなものが写っているのだろう。

EOS 5DMarkⅡ+ EF70〜200mm f4L IS USM  f11 1/640sec ISO200

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達人は「表現」などしないのである

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ペンタックスフォーラムで井上達夫さんの写真展
「山間の風 人の風」を見た。

秩父の奥にある山間部で過疎地の生活と祭をとらえたもの。

作品を見はじめるといつの間にか井上さんが横に立ち、
さも当然のように「アーチストトーク」が始まる。

ちなみに井上さんとはきょうが初対面だったが、
まったく自然な80代のおじいさんが近所の知り合いに、
ご自分が旅先で見つけたことを
土産話のように伝えてくれているような、
なんともあったかい気持ちになってしまった。
そしてこのトークまでもが作品のような錯覚に陥る。

そして、
人生の達人は「写真表現」などという青臭いことはしない。

特別なテクニックなど使わず、というか、
最初の数秒はむしろ下手、というかヘタウマというか……
と感じたが、フィルムカメラにネガを詰めて撮影された作品は、
井上さんの感じたものを余さず封じ込め、
ひっそりとした過疎地の中の
心地よい暖かさを伝えてくるのである。

いろんな意味で、かないません。

いやー「上手くなりたい」とか下心を持っているうちは
この境地に辿り着けないのでしょう。
貴重な体験をさせてもらったような気がする。

EOS 5DMarkⅡ+ EF24〜105mm f4 IS USM  f4 1/200sec ISO200

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受験のお守り

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川名廣義さんの写真展を見た流れで湯島天神に寄る。

姪っ子姉妹がふたりとも受験なので学業成就のお守りを
送ってやろうと思ったからだ。

しかし、よく考えると彼女たちはお寺の子で、純度100%の仏教徒。

不用意にお守りなど送って良いものかと姉に確認の電話を入れたら、
「センター試験は3つ持っていったけど、
湯島のだったらもうひとつあってもいい」 という。

仏教徒は神に貪欲だったようである。
神様がけんかしないように中くらいのグレードのお守りを買った。

その後、銀座で中平卓馬さんの写真展『Documentary』 

縦位置のプリントが上下2列でびっしりと壁を這う。
すべてが100ミリでの撮影で縦位置、というだけでも
それが何かを言っている。

100ミリで、ぎりぎり話しかけられる距離感。
人ならバストアップかそれ以上の感覚。

被写体は目つきの悪いペンギン、道で寝ている人、
木、店の看板、ニワトリ、岩、農作業中の女性……etc。

下手に意味を考え出すと苦労する。

ひと通り見たところでひらめいて、
何点かのグループに分けて見はじめたら、
その中で呼応したり、韻を踏んだりする写真が
わらわらと現れ、どんどんすごくなっていく。

何倍か面白くなって、しかしそれをやっていると
何時間経ってしまうかわからなくなり、少しこわくなって帰った。

EOS 5DMarkⅡ+ EF24〜105mm f4 IS USM  f8 1/1000sec ISO200
 

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